最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)1645 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人山崎一男上告趣意第一点にいて。
原判決が判示第一の事実を認定し、その証拠として「被告人の当公廷における判
示同旨の供述」を挙げていること、しかるに原審公判調書によれば判示第一事実中
に判示している「被告人がBの案内によつてC方に到り同家に押入つて強盗を働く
機会を覗つたがその機を得ずして引揚げた」との趣旨の被告人の供述が存しないこ
とは所論のとおりである。しかし、強盗の予備罪は他人と共謀の上強盗の目的を以
て兇器を携えて目的地に向け出発するを以つてその犯罪はすでに成立するものであ
つて、現実に目的地に到達し又は到達後更らに原判示のように押入つて強盗を働く
機会を覗がうごとき行為をなすの要あるものではない。されば原判示は予備罪の成
立に必要のない無用の判示を附加したに過ぎないものであるから、かかる無用の附
加事実につき証拠がないからといつて所論の違法あるものとはいえない。それ故論
旨は結局その理由がない。
同第二、三点について。
しかし証拠説明中の証拠の標目を表示するのに、現に存在する「大阪市城東警察
署司法警察官巡査部長A作成名義の聴取書」は単に「司法警察官代理の聴取書」と
表示したからといつて、表示の不正確たるに止り、虚無の証拠を罪証に供したとは
いえない。
従つて所論第二点は採ることができない。また、所論大阪市城東警察署巡査部長
が司法警察官の職務権限を有することは警察法第四六条第三五条旧刑訴第二四八条
等の規定により明白であるから同人の作成した聴取書を目して官職を冒用して作成
した違法のものとはいえない。従つて所論第三点も採るを得ない。
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同第四点について。
しかし所論指摘の部分は判決書の記載事項でないばかりでなく、昭和二三年一二
月一三日の「日」の字を脱落したものであること明らかであるから、原判決には所
論の違法があるものとはいえない。本論旨も採ることができない。
よつて旧刑訴四四六条に従つて主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見である。
検察官 長部謹吾関与
昭和二四年九月二九日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 沢 田 竹 治 郎
裁判官 岩 松 三 郎
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